色鉛筆について知ろう
画材で一番身近なもののひとつに「色鉛筆」がありますが
色鉛筆と油絵の具って似ている所があるって言ったら信じますか?
私も最初は
「色鉛筆」をどんな風に使ったらいいか分からなかったんですよ。
そして
「色鉛筆」って、「色」の数が限られていて
「絵画」や「写実的な絵」には
合わない画材だと思っていたのです。
思い込みもあるとおもうのですが、「色鉛筆」って、デザイン・イラストを描く時の画材って思っていたんですね。
でも
じつは、奥が深い画材だと使ってみて分かったのです。
どうですか?
油絵の具の代わりに
「色鉛筆」
で「絵画」を描いてみませんか。
それには
まず、
「色鉛筆」は何でできているのかについて、知る必要があるのでまずは
「色鉛筆」の原料について
ちょっと、紹介していきたいと思います。
色鉛筆は何でできているの?色鉛筆の原料について
「鉛筆」と「色鉛筆」って
同じ「鉛筆」と名前がついていますが、原料となるものは全く違います。
「鉛筆」の主な原料は黒鉛といって、炭を空気を遮断した状態で加熱すると純粋な炭の黒鉛になります。
この、黒鉛に粘土を加えて焼き固めた物が鉛筆の芯の部分になりますが
「色鉛筆」の方は
顔料に、蝋(ろう)と「タルク」そして、糊を混ぜた物を、そのまま焼かずに乾燥させて固めたものが「色鉛筆」の芯になります。
顔料は色の元となる粉ですね
そして、おもな媒体(顔料を固める役割をするもの)が
蝋(ろう)です。
蝋はあの、ろうそくに使われている蝋です。
そして、タルクは、体質顔料と言われているもので、滑りを良くするために、加えられているそうです。
タルクは女性のお化粧品に使用されているものでもあります。
それらを
乾燥させて、固めたものが、色えんぴつの芯になります。
色鉛筆の製造工程については、「三菱鉛筆」さんのサイトで紹介していますので
こちらのサイトをご紹介しておきます。
三菱鉛筆さんのサイトはこちらから
色鉛筆の他の画材との違いと、私が考えてみた塗り方
色えんぴつは「蝋」で固められていて、直接画用紙に描いて色を付けることが出来るので、油絵や水彩のように他に画材を準備したり、筆を洗ったりといった手間がかからず作業ができるので、手軽です。
しかし
油絵や水彩のように、混色をして、思ったような色を作り出すことが出来ないという欠点もあります。
そこで、そんなデメリッも工夫次第で
色を混色したように見せる方法を考えてみました。
まず一つ目は
画用紙には凹凸があるので、凹凸の凸の部分に色が付きます。その、下の地が見えることを利用して、
色鉛筆の色と地の色のを混色したように見せることができます。
並置混色のような混色の仕方ですね。
ポットのアップ写真なのですが、
下地の水色と水彩絵の具の白で、線や色を重ねて塗り、複雑な色味を出して描いてあります。
それから、蝋(ワックス)が顔料を固めているので、塗るとちょうど顔料をワックスコーティングして画面にくっつけているような感じなので、
透明感があります。
透明・塗り重ねることが出来る特性を生かして
油彩画のように描くことができます。
↓最初に鉛筆の黒と水彩の白でモノクロの絵を描いておいてから色鉛筆で色を付けた絵がこちら
比較的透明度もあり、塗り重ねることができるので、油彩画に近い表現が出来ます。
白い画用紙に色鉛筆だけで描くより、複雑な明暗と色の調子ができていると思いませんか?
近くで見るとこんな感じになります。
色鉛筆だけで絵を描くと、絵に深み(奥行き)が表現しずらいのですが、
画用紙を有色にすることと
鉛筆であらかじめ影の色(調子)を付けておくことで、色鉛筆を塗っても軽い感じにならずに
奥行きや深みをもたせることができます。
もう少し、色鉛筆を重ねたり、
パステルを併用すると、もっと油彩画に近い表現になります。
今は色鉛筆を溶かす「メルツ」という画材もあるそうです。
使ったことはないのですが、インターネットで調べてみると、油彩画で使用するテレピンのようなものです。
有機溶剤(樹脂などを溶かし出す溶剤全般のことを有機溶剤と言っています)のような、匂いがしますと説明があったので、
油絵で使うテレピンやペトロールのようなものだと思います。
油性の色鉛筆は油絵のテレピンでも溶かすことができますが、「まだら」にしか溶かすことができません。
同じく、クレヨンもテレピン・ペトロールで溶かすことができます。
やってみましたが、きれいには溶かすことはできませんでした・・・。
水彩絵の具のように溶かして使用したいと思ったら
「水彩色鉛筆」を使用すると、きれいに色を溶かして塗ることができると思います。
色鉛筆の塗り方について
絵を描くときの画材は、使い方の決まりはなくて、何をどんな風に使ってもいい。というのが嬉しいところです。
描き方と技法は画家の数だけ存在すると言ってもいのではないでしょうか。
たとえ、失敗した!と思っても、
その、結果がおもしろい表現だと思えば、それすらも肯定されてしまうのが美術の楽しさです。
さて、色鉛筆の塗り方なんですが
色鉛筆で塗る時も、こう塗らなくてはいけない!ということはないです。
しかし、いくつかのポイントを知ることで、効率的にきれいに塗ることができます。
以下紹介しましたので参考にしてください。
塗るポイントを、5つ紹介していきたいと思います。
① 一つ目は、画用紙に塗るので、最初は筆圧をかけないで、軽く鉛筆を寝かせるように塗っていきます。
そして、徐々に筆圧を強くして濃く塗っていきます。だんだん画用紙の目の凹凸の凸の部分をつぶすような感じで濃くしていきます。
さらに、濃くしたい時は、凹凸の凹部分にも色を入り込ませるような感じで、色鉛筆の芯を立てて、線で埋めるように、色を付けて濃くしていきます。
②画用紙の下に、何枚か画用紙を引いて塗ると、淡く、うすく塗ることができるので
鉛筆の筆圧だけで、濃さを調節するのではなく、画用紙の下に敷く枚数で濃さを調節します。
画用紙1枚だけ硬いテーブルの上に置いて色を塗ると、濃くはっきりとした線を描くことができます。
筆圧だけで濃さを調節するのではなく、画用紙の弾力(下に何枚紙を敷くのか)によっても色の濃さを変えて描いています。
③色鉛筆の芯の硬さも、メーカーの種類によって違います。
私が使用してみて柔らかいと思う芯は「ホルベイン」の色鉛筆なので、最初は「ホルベイン」の芯で塗っていきます。
そして、重ねて塗る時はだんだんと硬い芯に変えて塗ります。
最初は「ホルベイン」→「ファーバーカステル」→「三菱鉛筆」といった順番で使っています。
これは、鉛筆で絵を描くときと同じことで、硬い鉛筆で描いた部分には柔らかい芯の鉛筆は乗らないからなんですよ。
④色鉛筆はパレットで混色して新しい色を作ることができませんよね。
だけど色鉛筆にも、原色の色から中間の色まで種類があるので、中間の色を使うことで、混色できないという色鉛筆の欠点をカバーしています。
中間色だけを揃えた商品もあります。それがこちらの
ホルベイン中間色色鉛筆です。
ゆめ画材さんのサイトをご案内しました
この、50色の中間色の色鉛筆を使用して私は描いています。
⑤色鉛筆は混色できないという欠点を補う、もう一つの方法は
「並置混色」という混色を利用して混色することです。
「並置混色」って?
はい
並置混色とは
よく、青の縞々(しましま)のシャツを遠くから見ると水色にみえたり、細かい赤の水玉模様が遠くから見るとピンクに見えるという現象を利用した混色の方法です。
これと同じことを利用して
色鉛筆で混色をすればいいんですよね。
画用紙の地の色と鉛筆のハッチングの線での黒の色、水彩の白でのハッチング、色鉛筆での色の重ねあわせから、複雑で深みや奥行きのある色を作りだすことで描いていきます。
以上、色鉛筆で色を塗る時のポイントについてまとめてみました。
だけど、
美術はこう使わなくちゃいけないということはないので、この方法以外にも、画家の数だけの技法があるので
いろいろと表現方法を模索してみることも大切だと思うのです。
色鉛筆で塗った後に、ティッシュペーパーでこすってみたり、
芯だけをカッターで削って画用紙の上に落としてこすってパステルがのような表現を試してみたり・・・と
考え付くかぎりの表現を試すこともいいことだと思います。
まとめ
本当は油絵を描けたらいいのだけれど
周りの環境でなかなか難しい・・・
そんな悩みを持って制作していました。
それで、水彩なら匂いも気にならず、机のちょっとしたスペースで描けるかな?と思って描いてみたりしましたが
油絵に慣れている私には
一度で色を決めなくてはならない水彩画はなかなか描くのが大変でした。
アクリルでも挑戦してみましたが、水やパレットなど用意しなくてはなりません
水・パレットを用意することだけでも大変だったんですよね・・・。
絵の具を使うと、
その後、筆をよく洗っておかないと固まって大変なことになりますし。
色鉛筆ならそんな問題も解決してくれます。
色鉛筆といってもたくさんのメーカーからいろんな種類のものが販売されていて色の種類も豊富にあります。
そして
技法を駆使すれば、微妙な色合いも表現できることが分かりました。
何より、さっと準備が出来て、片づけもしまうだけなのがいいですよね。
匂いもないし、リビングで空いた時間にテーブルで描けるのも
忙しくて、作業スペースが取れない私にぴったりの画材だと思いました。
画用紙も色鉛筆もそんなにお金がかかりませんし、一度購入したら、本当に長い間使うことができます。
なので、
油彩画や日本画を環境からあきらめかけている方に知ってもらえたらと思って記事にしてみました。
鉛筆での絵画は「鉛筆画」というジャンルがありますが、私が描いている鉛筆を中心とした絵は
銀筆(メタルポイント)
色鉛筆
パステル
水彩も使うので
「鉛筆絵画」
というネーミングをオリジナルでつけてみました。
筆とパレットを極力使わないで描く絵画です。
画材にあまりお金をかけられない、描く作業スペースがない、細切れの時間しか確保できない
そんな主婦(私)に最適な方法です。(笑)
参考にしてもらえたら嬉しいです。