まとまった時間が取れないと絵って描けないのかな?
そんな風に考えてしまいますよね。
私も、子供が小さい時はまとまった時間が取れないから絵は描けない、そんな風に思っていました。
だけど、
だんだんと、短時間の積み重ねで意外と絵って描けることが分かってきたんです。
主婦って、長い時間自分の自由になる時間はないけれど
こまぎれの時間って、たくさんあることに気がついたんですよ。
例えば、朝家族が起きてくる前の時間。
洗濯機を回している間の時間。
煮物料理をしている時間。
子供が習い事をしている時のお迎えまでの時間、とか・・・。
そんな、10分くらいの短い時間を利用して、ちょこちょこと鉛筆で描いていると、2~3時間くらいで一枚の絵は描けちゃうもんなんだと分かったのです。
モチーフをセッティングして描こうとすると、
モチーフを毎回片づけなくちゃならなかったり、描いている時間帯で光の位置が変ってしまったりといったことがあるのですが、
模写だったら、絵を描く練習になるし、隙間時間に紙と鉛筆を用意して
さっと描くことができるので
ちょっと、絵をかいてみたいな
そう思う時に最適な方法だと思いますよ。
用具を準備しましょう〔最初の隙間時間1]
まず、はじめに用具を準備しましょう。
原画をコピーしたもの
今回は、レオナルド・ダ・ヴィンチ作の「少女の頭部」という作品を模写してみようと思います。
この作品は、「岩窟の聖母」というルーヴル美術館に所蔵されている油絵の下書きとして、紙に尖筆(銀でできた鉛筆の代わりとして使われていた描画用具)
詳しいことは こちら で説明してあります。
で描かれています。
自分で持っているルーヴル美術館の画集の中の画像を写真に撮影して、掲載しました。
この、一番右端の天使の下絵が、今回の模写する絵になります。
模写の原画の見つけ方
美術系の雑誌や画集からカラーコピーをして使います。
図書館で画集から見つけたり、BOOKOFFといった本のリサイクルショップで
見つけることができますよ。
画用紙について
今回は、色つきのパステルマーメイド紙を使用しましたが、
画用紙であれば、何でも大丈夫です。
真っ白い紙よりは、色が付いている紙のほうが、絵は描きやすくなるし、自然な風合いと年月を経た感じに仕上がるので、色つきの紙を使用します。
だけど、同じような紙を用意することが出来なかったら
本物そっくりに描くことが目的ではないので、
違う画材を使用して描いてもいいのです。
作家の絵の構図や陰影を参考にすることだったり、同じように描くことで作家の視点を感じて学ぶことが大切なので、
手持ちの画用紙と筆記用具で描いてもおもしろいと思いますよ。
描画用具など
〇鉛筆・・・
今回は三菱ユニの鉛筆を使用します。
B・HB・Hの硬さを使いました。
〇練り消しゴム・・・
普通の消しゴムでも大丈夫ですが、
絵を描くときは練消しゴムを使用します。
文具店でも販売していますよ。
〇赤のボールペン・・・
転写するときに使います。
〇パステル鉛筆・・・
色鉛筆の白やコンテの白などでも大丈夫です。
〇綿棒・・・
パステル鉛筆をぼかして画面になじませる
時に使います。
〇カッターとカッターマット・・・
画用紙を原画のサイズに切るために使います。
(ハサミで切ってもOK)
〇定規・・・サイズを測るために。
〇トレーシングペーパー・・・
転写をするときのために。
〇シャープナー・・・
鉛筆の芯を尖らせるために使います
(なくても問題ないです)
そして、↑こんな風にトレーに入れて準備しておくと
描きたい時に、さっと準備して描くことができますね。
原画と同じサイズに紙をカットしよう〔隙間時間2〕
原画のサイズは縦174mm、横155mmなので、画用紙とトレーシングペーパーを同じサイズにカットします。
原画にトレーシングペーパーをのせてトレースします〔隙間時間3〕
トレーシングペーパーを乗せたら、マスキングテープで固定しましょう。
マスキングテープは100円ショップのもので、専用のテープカッターも一緒に購入したのですが、
これが使いやすくてとても気に入っています。
便利ですよ。
固定できたら、鉛筆のHでトレースしていきます。
トレースの種類について
絵を転写する方法は大きく分けて3種類あります。
トレーシングペーパーを使って転写する方法
原画にグリット(格子)を描いて転写する方法
この方法は、原画と、実際に描く紙の両方に格子(四角のマス目)を描いてマス目に描かれている図柄を見比べて描く方法です。
この方法は
グリット(マス目)が描いてあっても、上から油絵といった不透明絵具を使って塗っていくときはグリットの線が消えてしまうので、問題ないのです。
でも、素描や水彩画の場合はグリットの線が消しゴムで消しても、消し後が残ってしまうので、
トレーシングペーパーを使ったやり方か、もしくはライトテーブルを使った転写の方法を使います。
ライトテーブルを使用する方法
ガラスの板の下からライトをあてて、転写する方法です。
トレーシングペーパーをはがして、裏を鉛筆で塗りつぶす〔隙間時間4〕
裏返して、Bの鉛筆で塗りつぶしていきます。
鉛筆でカーボン用紙を作っていくイメージですね。
画用紙の上にトレーシングペーパーを乗せて、赤のボールペンでなぞって写します〔隙間時間5」
画用紙の上に乗せる前に
鉛筆で塗りつぶした部分をティッシュペーパーで軽くこすって、鉛筆の粉をなじませておきましょう。
塗りつぶしたままの状態で、画用紙に乗せると、
最初に書いた、原画の輪郭線が、塗りつぶした黒い色によって見えなくなってしまうからなんです。
ティッシュでこすってなじませることによって、黒色がうすれて、グレーになり、
原画の輪郭線が見えるようになります。
こすったからといって、画用紙に転写できないなんてことはないので、安心してください、ちゃんと写りますよ。
鉛筆で塗りつぶした方を画用紙側にしてのせて、マスキングテープで固定します。
そうしたら、この上から、赤のボールペンで、線をなぞっていきます。
なぜ、赤のボールペンなのかというと、一度書いた線がわかるようにと、
ボールペンは筆圧が強く描けるので、画用紙に鉛筆の線が映りやすくなるからです。
トレーシングペーパーを外して、鉛筆で、原画を見ながら写していく〔隙間時間6〕
鉛筆を寝かせるように、鉛筆の上の部分を握るようにもって軽い筆圧で描くと
うすく線を描くことができます。
最初は筆圧をかけないように、軽く、うすく描いていきます。
原画そっくりに描かなくても大丈夫ですよ。
目的は、作家の目線を知って、まねて、自分のものにすることなのですから、
楽しみながらえがきましょう。
細かい部分(デティール)を描く時は文字を書くように鉛筆を持って描きます。
白のパステル鉛筆で描きます〔隙間時間7〕
画像ではちょっとわかりずらいかもしれませんが、
白のパステル鉛筆で描いた後に綿棒でこすると、画面になじみます。
できました!
完成です。
出来上がった作品はフィキサティーフをかけて額に入れて保管しておきましょう。
まとめ
*模写は絵の練習にもなるし、モチーフのセッティングをしなくてもいいので、家事や休日の隙間時間を利用して絵をかくことができます。
*10分でも、7回(だいたい70分)くらいの時間があれば、B5サイズくらいの大きさの絵を描くことができます。
画材をトレーにひとまとめにして用意しておくと、ちょっと空いた時間に制作に取り掛かることができて便利ですよ。
*模写は、原画とまったく同じように描くことが目的ではなくて、
画家が対象(モデル)のどこを見て描いたのかを知って、自分の中に取り込むことが目的なので、似てなくても気にしなくて大丈夫、
画家が使用した画材と違った画材で描いてみるのもいいと思いますよ。
*ゴッホも、ミレーの絵を何度も模写をして勉強していました、
巨匠と呼ばれる画家の絵を模写することで、リクリエイト(再創造)する気持ちで描いてみましょう。