“あたり”をつけて描き始めても形がうまく取れない時の裏技

絵を描く時によくいう“あたり”とは?の文字画像と鉛筆の画像

“あたり”ってなんだろう、と思った方は

絵を勉強しようと思って、技法書やインターネットで検索してみるとこの“あたり”という言葉を見たり、聞いたりすると思います。

この、“あたり”ということばは、デッサンを勉強すると先生が良く使う言葉です。

それは、

絵を描くときの、モデル(モチーフ)の見方は、いつも私たちが見ている物の見方とは違う見方をしているからなんです。

通常は、物を「これはコップである」とコップをなんであるかという、言葉に置き換えて認識しているのですが、

絵を描く時は

この、物の見方を変えて見ないと絵は描くことができないんですね。

それで、どんな風に見るか・・・、というと

コップ、というものの言葉でみるのではなくて、

陶器でできた、円柱に近い形をしているもので、中が空洞になっていて

上から見ると形は丸に見える。

真横から見ると、長方体に見える、

長さの比率は、横の長さは縦の長さの1,5倍だな・・・

というような見方をします。

画面に形の位置を決めるときや、比率を図ってその位置に記しを付けておくことを

“あたり”をつけるといいます。

絵を描いていく時は、この“あたり”をたくさん付けていって、

“あたり”の積み重ねで絵がだんだんとできてくる感じになります。

“あたり”についての詳しい動画を紹介しましたので、こちらも見て頂くとよくわかって頂けるかなと思います。

YouTube TAKEPON channel より、動画をお借りしました。

こんな風に、描きたいモチーフを形の比率で見て、その比率の目安になる所に鉛筆でうすく、印をつけることを、“あたり”を付ける、といいます。

わかったけどうまく描けないんだよねの文字と犬の画像

はい。

それは、初心者さんによくあることなんですが、描く対象物(モチーフ)だけしか見ていないからなんです。

人間の目は、点で物を見るようになっていて、

意識して、周りの風景を見て頂くと分かると思うのですが、目の前の人物と話しをしているときに、意識してみている部分は相手の顔が中心ではないでしょうか、

そして、時々、相手の洋服だったり、手元だったりしますが、

相手の顔を中心として意識してみていると思います、

絵を描くときは、

その、意識を画面全体に向けると言ったらいいでしょうか。

一点に集中しないで、常に画面全体を漫然と見る感じで見ます。

そうして、

画用紙に絵を描くときも、

鉛筆で線を描いている部分だけに集中してみないで、常に、画用紙全体を見ながら、画用紙の中のどの部分に線を引いているかを認識しながら描いていくと

バランスよく描くことができます。

絵を描く時の見方を身につけないといけないんですねの文字と犬の画像

じつは

絵を描くって、身体技能なんです。

だから、体操選手のようにトレーニングも必要になってくるんですね。

でも

それは、トレーニングを積めば誰にでも描けるってことですから、絵は才能じゃないんです。

練習あるのみです。

“あたり”をつけて描き始めても、形がうまく取れない時の裏技を紹介します。

こんな方法もありますの文字画像

下絵を描いてから、本番の紙に転写をする方法

本番の画用紙にいきなり描くのではなく、クロッキー用紙や模造紙にあらかじめ下書きをしておいて、それを転写します。

下書きに描く紙はどんな紙でもいいのですが、

クロッキー用紙が転写をするときにやりやすいので、クロッキー用紙がおすすめです。

クロッキー用紙とは

「→教えてオリジナルノート 書きま帳査隊」さんのブログをご紹介させていただきました。

クロッキー用紙だったら、何度も描き直しが出来ますし、大幅に描き直したい時は、

間違えて描いた部分の上から新しい紙を貼り付けて、その上から正しい絵を描く方法もあります。

それから、

気に入った部分だけを切り取って、別な画用紙に貼り付けて、さらに描き足すという方法も取ることが出来ます。

そうやって

画面にバランスよくモチーフを描くことができたら、

本番の画用紙に転写して描いていきます。

それでも、なかなか形が決まらないよ。という場合は写真を撮って、それを転写してしまいましょう。

写真を使って?の文字と女性の画像

写真の大きさが画用紙と同じ大きさなら、そのまま転写してしまっていいと思います。

だけど

画用紙の方が大きい場合は

格子(グリット)を引いて、そのグリットを目安にして絵を描いていきます。

あるいは、

A3の大きさまでなら拡大コピーができるので

画用紙がA3の大きさ以下なら、コピーしてしまう方法もあります。

格子(グリット)を引いて転写する方法

描きたいものを写真に撮って、その上に格子(グリット)を引いて、その線の位置からだいたいの画面の位置を決めて描く方法です。

下の写真は私が今、制作している作品なのですが

実際の風景を撮影してきて、

バランスよく画面を作り、(切ったり、貼り付けたりをして絵になるようにします)

そうしたら、

その写真の上から、格子(グリット)をひいて、

キャンバスのほうにも同じように格子(グリット)を引いて、その線を照らし合わせながら、写しとっていきます。

私が描いたキャンバスの絵の方は、鉛筆で描いてあり、上から油絵の具を塗ってしまったので、下書きのグリットは

ほとんど見えなくなってしまいましたが、

こんな風に転写をしていく方法もあります。

写真に載せた絵の大きさは

サムホール(はがき2枚分の大きさ)になります。

もっと大きいサイズ

100号(160cm×130cmくらい)の絵を描くときも、この方法を使って描いています。

この下絵は

2019年市民展に出品した作品の下書きなのですが、サイズは

縦が47cm横が27cmです。

転写するときに気を付けなくてはいけないことは、縦と横の比率を同じにする、ということです。

そうしないと、違う絵になってしまいますよ。

初心者さんがどうしても、形を取るのが難しくて絵がすすまないよ。

という場合の秘策を紹介しましたが、

初心者さんがこれから絵をちゃんと勉強していこう!そんな風に思うなら、少しづつデッサン(物の見方)を練習していきましょう。

写真を見て描くことも可能なのですが、

これから

自分の絵を描いていって、みんなに個展や公募展を通して発表しようと思っているなら、デッサンの見方を習得していくほうがいいですよ。

デッサンはただ、単純に鉛筆や木炭を使って絵を描くことではなくて、

絵を描いてくための「ものの見方」や「技能」を身に着けるための勉強とでもいったらいいのでしょうか?

絶対これからの絵の表現活動に役立つものなので、

ぜひ、勉強してみてください。

デッサンを習得した、美大生や、画家さんの絵画教室などでデッサンをきちんと学んだことのある方は

この、物を見る目、物の見方が出来ているので、

写真をもとに絵を描いても、写真の写り方と、人間の目の捉え方の違いを理解しているので、

ちゃんと描くことができるんですね

初心者さんには

絵を描く楽しさを知ってもらうためにも、

あんまり、形を取る所でつまづいてしまって、絵が嫌いになる方もいらっしゃるので、

楽しさを分かってほしいなぁ、という気持ちから、紹介してみました。

ほんとに、「絵」って奥が深いです。

まとめ

“あたり”という言葉を初めて聞いたひとにも分かりやすいように、記事を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

さあ!絵を描いてみよう。

そう思って描き始めてみたものの、形を取ることがなかなか難しくて絵を描くことを断念してしまう

そんな悲しいことにならないように、ちょっとしたコツを紹介してみました。

この記事が、スムーズに絵を描く助けになったらいいなと思います。

絵を描く時の物の見方については

モチーフを日常で使っている物として見ないで、比率で測ってみること。

人間はピンポイントで見ているので、見えている全体を意識して漫然と見る感じで見る。

そうすると、画面のだいたいどのあたりに描いたらいいかが分かると思います。

そして

画用紙に描く時も描いている鉛筆の先の部分だけを見るのではなくて、画用紙全体を身ながら、線を描いていく。

最初から、正確な位置を決めることは難しいので、

少しずつ、鉛筆でうすく描いていきます。あたりをたくさん付けていくうちにいつの間にか、形がとれていた。という状態になるのがベストな描き方ですよ。

「絵」を描くって、身体能力のひとつで、目と手の訓練次第で上手く描けるようになるんですよ。

だから、たくさん練習すればどんどんうまくなるってことです。

もし、

自分の「絵」を描いていこう、そう思っていたらデッサンの方も勉強してみてくださいね。

以前、絵画教室で会社に勤めながら絵を学んでいる方から、「デッサンてやっぱりやった方がいいんですか?」

そう聞かれたことがあるんです。

「できるんなら、やったほうがいいですよ。」とお答えしておきました。

「デッサン」という響きから、美術大学を受験したことがある、もしくは美術大学進学を考えていた。というひとは

トレーニングに近いもので、

1日中「石膏」のモチーフを描いていなくてはならない、そんなイメージをもっているのではないでしょうか。

ちゃんとした、デッサン力を付けるには、毎日6時間のデッサンを1年間続けなくてはいけないよ。

と聞くこともあります。

実際はそうなのですが、

え~!と

おどろいて、そんなにやらなくちゃ、だめなら、私にはむり!と思う人もいると思うのです

だけど

時間に換算すると、実はそんなに厳しい時間ではなくて、

ちょっした10分20分の隙間時間で達成できるものなんですよ。

絵を勉強しよう。デッサンを勉強しよう。絵が上手にすらすらと描けるようになりたいな。

そう思ったら、

多少

今まで見ていたテレビの時間をデッサンにあてたり

YouTubeで見ていた動画の時間を絵を描くことにあててみましょう。

社会人だったら、

会社の飲み会を絵を描く時間にあてるとか・・・。

土曜日か日曜日のどちらかを絵画教室で学ぶ時間にあてるとか・・・。

私は退職して10年間絵画教室に通いました。

時間数にしたら、何時間だろう?計算してみました。

1200時間でした。

一日毎日休みなく描いたと想定すると、200日描いたことになります。

日曜など抜かして、約1年間6時間は絵を描いていたという計算になります。

ざっくりとした計算ですが。

自分でも、そんなに描いたのね・・・と改めて感じました。

そのほかに家でも描いていましたからもっと描いていたことに・・・。

私は週に1回のペースで通っていたので、10年かかりましたが、週に2回や、週に1回でも、時間をもっと長くすれば、4~5年でこの時間は達成できると思います。

子育てと家事をしながら、絵画教室に行っていて、

がむしゃらに頑張った、というわけではなく、むしろ、生活のリズムが出来て、気分転換に行っていたというくらいの気持ちだったんです。

なかなかうまく形がとれなくて苦労していても

練習量をこなせばだれでも、すらすらと描けるようになっていきますからね

なので

楽しんで、絵を描いていきましょう。

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