【絵画の構図】絵を描くときに使える簡単構図について解説します

こんにちは、駒形です!

以前の記事 【構図】画家の目とカメラの目の違いを知ると絵が描きやすくなるよ

で紹介した内容を深く掘り下げて

そして

絵の初心者の方にも

分かりやすく解説してみようと思います。

絵画の構図とは

構図とは、画面の中にモチーフをどのように配置するかを考えることです。




この、構図によって「絵画」のいい感じとなんだかいまいちな感じが決まってしまいます。


それなので、「絵画」を描こう!

そう思ったら、この「構図」について

十分に考えましょう!


構図には、鑑賞者が絵を観たときに、

画面の中を鑑賞者の視線がくまなく

視線を誘導させるという役割を果たします。



それによって

鑑賞者が、絵を鑑賞したときに心地よいと感じる絵を作り出すことができるんですね。

絵画の構図はピタゴラスの調和比を利用して考えよう

アブラハム・ブルーマート「子供たちのために嘆き悲しむニオベ」1591



ピタゴラスは古代ギリシャの数学者であり、哲学者です。

かなり古い時代の人物で、伝説として伝えられているので

本当のことかどうかは分かりませんが、

こんな伝記があります。

紀元前500年前に、ピタゴラスは鍛冶屋のそばを通りかかった時に

金床を打つ金づちの音が一つひとつ違うことに

気が付きました。

工房に入ってみると、音の違いは金づちのサイズや重さに

よることにピタゴラスは気が付きます。



この一件からピタゴラスは、数値(金づちのサイズと重さ)は

空間と時間に物理的に影響をもたらす(ここでは音)

ということを発見するのです。

と思いますよね。

この一件からピタゴラスは

人間が美しいと感じる音には、比率(ものの長さ)と

深い関係があることに気が付き、そのことを研究していくんですね。

ピタゴラスは長さが異なる楽器用の弦を使って、

音と物理的数値の関係をいろいろ調べて行くうちに

音は金づちと同じように

弦が短いほど、(数値が小さいほど)高い音が出ること

弦が長いほど、(数値が大きいほど)低い音が出るという事を発見します。



そしてさらに驚くべきことに

弦が響いている時に指で触れると振動は止まるのですが

ある、一定の場所ではクリアで美しい音色が響いたのです。


その音源は、右から左に弦を図るとその弦の二分の一

三分の二、四分の三の位置を触れた時に作り出されました。

この、心地よい音色は「ハーモニクス」「倍音」と呼ばれます。

この間隔は、人間が目で見た時に「美しい」と感じる比率でもあるのです。

不思議なことに、耳によって「ここちよい」と感じる比率は目にも「ここちよい」と

感じる間隔と同じなのです。

ピタゴラスの調和比はその後、建築家や哲学者によって後世に伝えられ、

デザインや建築・絵画に利用されてきました。

そうなんですよ。

だから、このピタゴラスが発見した

調和比を利用して、構図を考えると

構図が考えやすくなるし、

鑑賞者が絵画を鑑賞したときに、「ここちいい」「うつくしい」

感じる絵を描くことができるんですよね。


私は、この調和比を利用して

よく絵の構図を考えています。


絵画の構図を考える時の道具

実際に「ピタゴラスの調和比」を利用して

「絵」の構図を考えてみようと思います。

「絵」の下書きの段階で構図を考えていくのですが、

その時に必要な道具は以下のものになります。

〇クロッキー用紙(絵が描ければどんな紙でも大丈夫です)

〇製図用コンパス

〇鉛筆

〇消しゴム(練り消しゴム)

〇30㎝の定規

です。

下書き用の紙はなんでも構いません、

自分で描きたい絵の大きさと同じサイズの画用紙(クロッキー用紙)

を準備してください。

画用紙の大きさや比率について

次に、

簡単にキャンバスの大きさと比率の関係について説明をしたいと思います。

比率とは

絵を描く画面の縦と横の長さの比率のことをさして言います。短編(短い方の長さ)を1という基準にしたときに

長い方はどれくらいの比率かという事です。




油絵のキャンバスでは、縦と横の比率が 「号数」によって本当に

バラバラなんですね。

それなので、

単純に小さいキャンバスの比率を拡大したら

大きなキャンバスの大きさになるのかと言ったら違うのです。


なので、描きたいキャンバスの大きさを決めてから

その大きさの比率で下書きをしたほうがいいです。


黄金比のところにモチーフ(主役)を持ってくると

構図の美しい絵が描けるなんてことを聞きますが

日本のキャンバスは

日本独自の規格・サイズで作られているので

黄金比の位置を探し出すことが本当に大変なのですよ。

なので、私は構図を決めるときに「黄金比」は利用してはいないのです。


黄金比って、何?

そう、思った方はこちらをご覧くださいね。

【構図】画家の目とカメラの目の違いを知ると絵が描きやすくなるよ

ピタゴラスの調和比の構図の描き方

実際の描き方について紹介していきます。

①まず、画面を二等分します。

画面を二等分しようと思うと、定規で一つの辺の長さを図って

その、長さを割り算で半分の数値を出して、半分にする方法もあるのですが、

そのほかにも、

コンパスで画面を二等分する方法があります。


それは

こちらのサイトをちょっと参考にしていただくと分かりやすかな?と思います。

角の二等分線の作図ー数学教材ー

中学時代からは、任意の線を二等分するときに

コンパスを使用して、二等分するやり方を学んだと思います。

その、要領で、任意の線を二等分する。という方法もあります。



その方が、より、正確な二等分線を引くことができるし

作業も早いですよ。


縦と横を二等分できたら、

上の図のように、左右に二等分した長方形に対角線を引いて。

そして、さらに

上下に二等分した長方形にも対角線を引きます。

そして、下の図のように

斜線の交差する部分の緑色の線を引くと

画面の長辺と短辺を三等分した図を描くことができます。


画面全体を均等に9等分することができました。

今回は、

この画面を利用して、絵画の構図を考えてみました。

0号サイズの画面は14㎝×18cmでハガキサイズくらいの大きさ

なのですが、

下の図のように構図を考えることで

バランスの良い構図の絵の下書きを作成することができました^^


ちょうど三等分した点の部分に花の中心部分が来ています。

そして

花、全体が画面の中心に収まるようにしました。



視線を花に集中させたいので

油絵で着彩をするときには

四隅の三角部分の調子(明るい・暗いの度合いのこと)を暗い色にして

塗ろうと考えています。

こうした

画面の四隅を暗くする方法のことを

「ヴネット」といいます。映画や写真などでも使用される

テクニックで画面の周りを暗くすることで

画面の中心部分に視線を持ってくるのですね。

実は、この絵は最初、0号サイズと小さい画面だったので、ちゃんと構図を考えなくても

大丈夫でしょう。

そう、考えて、

下書きをしないで、いきなりモチーフを前にしてキャンバスに

描き始めちゃったんですね。



そうしたら・・・・。

なかなか構図が決まらなくて、結局

きちんと下書きを描いてからにしようとやり直したので

キャンバスの前で悪戦苦闘した1日の時間は無駄になっちゃいました。


やはり

画面のサイズが小さくても

手を抜かないで、きちんと下書きや構図を検討することは

大切だな~と改めて思いました。

下の画像は下書きをしないで、直接キャンバスに描き始めちゃった時の画像です。

なんだか、画面が決まらなくて

書いたり、消したりしてました。

時間がもったいなかったです・・・。

絵画はモチーフだけが構図を作ってるだけじゃない

ルブラン「マリーアントワネットと子供たち」1787

構図というと

主役のモチーフを画面のどの場所に配置するのかといったことだけ

と思いがちだと思いますが

構図には

画面のどこに鑑賞者の視線を引き付けたいか、

という事も関係してくるので

明るい部分と

暗い部分の差(コントラスト)

も関係してきます。


そして、その視線は画家がコントロールして画面の中に

作り出すことができるので

構図を考えるという事は

必ずしも、主役のモチーフの配置だけの問題とは

限らないんですね。


「構図」って

そうした、いろんな要素が絡んでくるので

とても奥が深くて、難しいと思います。



明暗の他には

マチエール・テクスチャーも構図を左右する要因にもなります。

マチエールテクスチャーというのは

画肌のことを指して言います。

画面の表面がつるつるしているとか

ざらざらしている。

絵の具が極端にもり上がっているという事です。


そのほかに、色彩にも影響を受けます。


そんなことを聞くと、「構図」に苦手意識を持っちゃうと

思うかもしれませんが



あんまり

深く考えないで「構図」は絵を描くとき、迷ったときの

手がかりとして、使うといいのではないかな、と思っています。


美しい構図のトレーニング方法

この、構図って天性の感覚を持ち合わせている方って

いるんですよね。


なんとなく描いても

かっこよく画面にモチーフを配置してしまう人。



それは、生まれつきにそうした才能があるのか?というと

どうやら

そうではなくて

身近に美的なものに囲まれて生活していた

例えば

小さいころから「書道」を習っていたとか・・・・

そうした事が要因じゃないのかな?と私は感じています。

あと、絵が好きで小さいころから

まんがや絵を描いていた(見ていた)

そうした事から、自然と構図のバランス感覚のようなものを身につけたのでは

ないのでしょうか?

そう、考えると

これから、構図の美的感覚を身に着けたいなら

やっぱり

巨匠といわれている画家の作品を目にすること

「模写」することが有効なのじゃないかな、そう思うのです。

まとめ

よく技法書や

インターネットでの油絵の描き方について

説明したサイトなどでは

キャンバスに絵の具を塗り始めるところから

解説が始まっていることがほとんどですよね。


超、初心者さんなら

それで大丈夫だと思うのですね。


しかし、ある程度

油絵を描きだして

さらに、ステップアップしたいな・・・。そんなことを

考えているときに

この「構図」が大切になってくるのです。


どんなにきれいな色使いでも

どんなに丁寧に絵の具が画面に塗られていても



何か、もうちょっと何か足りないな

そう、思う絵には

「構図」を勉強すると断然とよくなるのに!と思います。

絵を描く作業を10とすると

キャンバスに絵の具を付ける前の準備は8割だと思っています。


自分は何を表現したいのかな?と自問する時間

どんなモチーフを描くか?と考える時間

構図を考える時間

使用する画材を考える時間

ざっくりなのですが、絵の具を塗っていく順番

そうした事を考えるのが8割で

後の2割は

キャンバスに絵の具を置いていく作業です。


今回のように、

0号サイズと小さいから、、、そう考えて

下書きなしで描き始めて失敗しちゃいましたけどね。



急がば回れですね、本当に。


だけど・・・あくまで私の制作手順なので

他の手順もあっていいわけですからね。


美術・絵は必ずしも「こう描かなければならない」はないのでね。


あくまでも、参考にしてください。



でも、私の過去の失敗経験からやっぱり「下書き」と「構図の検討」は必ずやったほうがいいですよ、

とのアドバイスです。


この記事が参考になったらうれしいです。

それでは~。

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