絵は「構図8割」
さあ、
絵を描くジャンルも決まって、画材も用意して、モチーフも設置しました。
鉛筆を持って
絵を描き始めましょうか。
と、鉛筆を走らせる前に・・・・。
もう一つ
決めなくっちゃいけないことがあるんです。
絵を描く前にあと一つ、
知っておいた方が絶対いい、ということがあるんですよ。
それは
構図
です。
私が、美術の大学に進学しようと決めてから、美術の受験専門の予備校という所があるんですが、
そこで
「構図8割だ」ということを教えてもらったんです。
どうゆうことかというと。
絵は構図でだいたいの良し悪しが決まるってことなんです。
受験では、絵を描いてそれを採点されて合否が決まるわけなんですが、受験生の数ってかなりの人数じゃないですか、
私たちの年代の受験生は、今の団塊世代の子供にあたる、いわゆる団塊ジュニアと言われた世代で
子供の数が多かった時代なんですね。
それで、
入試の時に採点するときは、たくさんの絵をずらっとならべられて、
採点者が構図が良くないと判断したものからどんどんはじかれていくんだよ。ということを聞いていたからなんです。
今は
あれから30年近く経っているから
入試の形態も変わったので、分かりませんが・・・。
なので、
構図は良く検討しなさいと。
絵を描き始めてしまってからでは、構図は変えることができませんからね・・・。
そこで
構図
について、少し、一緒に学んでみませんか?
構図について知ると
絵を描くときだけに役立つだけでなくて、絵を鑑賞するときにも、役に立つんですよ。
絵、だけじゃなくて、構図って
デザインやディスプレイや広告を作成するときなんかにも役にたつので、知っていて損はないと思うのです。
もうすこし、
絵を描きたいのを我慢して
この
構図について、聞いてくださいね~。
構図って何ですか?
構図は絵を描くときに
モチーフを画面にどのように配置するか、といった検討をすることです。
同じモチーフを描いても、画面いっぱいに描くのと、画面右端に小さめに描くのでは受ける印象が全く違うことが分かるかと思います。
絵画の構図での主な
決まり?のようなものを今から、紹介してみたいと思います。
これを知らないで描くのと、知って描くのでは、違うと思いますよ。
黄金比
「黄金比」という言葉を知っていますか?
分かりやすくいうと、「美の基準」とも言われていて、自然界はすべてこの、比率で成り立っているらしいのです。
宇宙の銀河系の渦の比率やオウムガイの渦巻き、
それから、人体の比率もこの、黄金比から成り立っているそうなんです。
黄金比について、もう少し知りたいという方は
こちらに詳しいことが書いてある動画を紹介しましたので
こちらを参照してみてくださいね。
黄金比について
You Tube 動画は「5分でわかる「黄金比」なーんだ、こうゆうことだったんだ
hunkawan さんの動画を紹介させて頂きました。
植物や動物には、個体差があるので正確に黄金比である、という事はなんだかこじつけみたいに感じるかもしれませんが、
だいたい
この
黄金比を基準にすると美しく見せることができますよ。その程度に知っておくだけでも絵を描くときに基準として決めやすくなると思います。
ピタゴラスが発見した調和美
この、ピタゴラスが発見した調和美は、
ボーンデジタル出版
の書籍の中に書かれています。
絵の画面を2分の一、3分の一、4分の一の所で分割する方法です。
ピタゴラスが数値と物理的現象を結び付けて、楽器の弦を叩いて偶然発見したものなんですが、
耳に心地よい音は見ても美しい感覚と同じなんです。
この、比率はギリシャ時代から19世紀まで
絵画の巨匠たちはピタゴラスの発見した調和比を用いて、画面を分割して絵を制作していました。
エンクロージャ(囲い)
黄金比の他にも
この「エンクロージャ」という言葉があります。
これはどうゆうことかというと。
画面の絵の中に丸や三角、四角といった形が感じられると、人は安心して(心理的に)見ることができますよ
ということなんです。
絵の中にはっきりとした形でなくてもいいのですが、
なんとなく感じる程度にこの
丸
三角
四角
が感じられると、まとまりのある、安心して見ていることが出来る絵画になります。
このことは、
ボーンデジタル出版
に書かれています。
パース
絵画を描くときに、一定の図法で描いた透視図のことを総称していいます。
図法って、
いろいろなものがあるのですが、
絵画を描くときによく使う図法は
一点透視図法
二点透視図法
三点透視図法の3つでしょうか。
透視図法って・・・?
そういうかたは
こちらに詳しいことが書いてある動画を紹介しておきましたので、良かったら見てみてください。
OCHABI 「見てるだけレッスン絵の奥行き遠近法Ⅰ」artgim 2015
OCHABIさんの動画を紹介させて頂きました。
知っていて、描くのと
知らないで描くのでは、ちがってきますよ。
こんな見方があるんだな
くらい理解するだけでも違うと思うので、奥行きを表現する方法について紹介しました。
遠近法や図法についても
将来は絵を発表していきたいな、
絵の仕事に就きたい!
絵で食べていきたい。
と言う人は詳しく勉強していくといいですよ。
私も、まだまだ深くは理解していませんが、これは絵を描く上で大切なことなんです~。
パースについての詳しいことについて
もっと知りたいよ
という方には、またまたボーンデジタル出版の
こちらの書籍
に載っています。
この記事で紹介した本は
私自身も購入して
たびたび読んでは、絵を描く上での参考にしています。
この本さえあれば、ほとんどのことは理解できちゃうんじゃないかと思うくらいいい本です。
本格的に絵を勉強している方にはお勧めの本です。
構図を決めるうえで知っておきたい、人間の目とカメラの目について
絵を描く上で知っていて損はないこと
それは
人間の目と
カメラの目の認識の仕方
について
です。
人間の目って、実は、どんなカメラも叶わないくらいの高性能だと思うんです。
まず
人間が物を観る・見ているということについては、まだよくわかっていない部分があるそうなんですが、
どうやら、
人間の目はカメラの目とは違って
一瞬を切り取ったような見方はできないようです。
人間の目は超広角レンズを使用したくらいの範囲が見えるそうなんです。
角度にすると、
一般的には120°くらいです。
これは、
実際に自分で感じることができるから分かるかと思うのですが。
そんなに見えている気がしないですよね。
それは
どうしてかというと
人間の目は、中心部分しかはっきりとは見えていないからなんです。
他の部分はなんとなく、見えているというより、感じている。という表現のほうがあっていると思います。
よく見える部分は中心の、10°程度です。
なので、人間は視点を目まぐるしい速さで動かして、
その、狭い視点で集めた情報を脳でつなぎ合わせて、目の前に写っていつ風景を作り上げているんです。
対して
カメラは一瞬で景色全体を写すことができます。
風景を描きたいな・・・
そう思って。風景を撮影してみたら、実際に肉眼でみた映像とまったく違っていてビックリした経験はありませんか?
私はそうだったんですよ~。
日光の山がとってもきれいだったんで、絵に描きたかったのですが、
真冬に外に座ってスケッチするには寒いなんてもんじゃなくて・・・
で、写真にとって、家でゆっくり描こうとしたら、
あんなに壮大で、迫ってくるような山が、小さくてまったく違った画像になってしまっていました。
これは、
カメラのレンズが超広角レンズでないと、肉眼で見たようには撮影できないからだったんですね。
それから、
カメラは拾える明るさが限られているので、
山に明るさを合わせると、
手前の林が、真っ黒になるし
林や木々に明るさを合わせると、山は真っ白に飛んでしまいます。
そこで
写真を肉眼に合わせるために
↑上の写真のように、三枚の写真つなげて、実際の現場に立って、山を見ているように作りかえました。
こっちのほうが、肉眼で見た風景になるのです。
で、これをもとに
描いた作品が↓の作品になります。
普通のデジタルカメラで撮影したので
三枚をつなげて、上下をトリミング(多少カットしました)。
そうするこで、人間の目でみた感じに近い画像をつくることができます。
人間は、カメラのように、ただ目の前の現象を写し出しているだけじゃなく
両目があるから、立体的に物を観ているし、
対象物が動く物だったら、時間をとおして見ているし、
それから、見ている人の人生経験からも、判断して物を見ているのだそうです。
なので、同じ現象でも、ひとりひとりの目をとおしての物事の映像を認識する、ということは、
違うことなのだと思いました。
写真をもとに絵を描く時のポイント
カメラに比べて、
人間の目は広角なので、写真撮影するときは、1枚だけを撮影するのではなくて、何枚も、少し位置をずらして撮影して
最終的に写真を何枚か貼り合わせたほうが、人間の目で見た感覚に近い画面ができあがります。
明るさについても、
カメラが拾える明るさには限りがあるので、
これも、明るさを(絞りをいくつかに変えて)撮影しておくといいと思います。
やっぱり、最終的には、自分の目でみた感覚を大切にして、
場合によっては、何度も現場に足を運んで描くのがいいと私は思いますね。
構図を良いものにするために、物を観る目を鍛えよう
そのためにも
対象を見る目をきたえなくちゃいけないな・・・。
そう自分自身に言い聞かせています。
目を鍛えるって、具体的には、対象を良く観察して、たくさんの物を描いて、形や色を記憶することだと思います。
記憶する。ということも訓練で良くなってくると思うので、
できるだけ、漫然とみないで、
散歩の途中に景色を見る時でも、絵にすることを考えて対象を見るように心がけています。
まとめ
「ペインティングレッスン 古典に学ぶリアリズム絵画の構図と色」 の中に書かれていた内容なんですが
絵画で
1番目に大切なことはドローイング
2番目が構図
3番目が色彩だそうです。
19世紀以降、個人の個性・感覚のほうが重要視されるあまり、構図については軽んじられているのが現代の絵画なのだそうですが、
自然界に秩序があり、
人が美しい基準を発見して、ギリシャ時代から巨匠たちがその調和比を使って絵を描いてきているので
それを使わない手はないと思うのです。
それから、もう一つは
構図を考える上で重要なのは、人間の目とカメラの目の違いを理解することです。
現代はテレビや写真の画像を目にしていることが多いので、それに慣れてしまって、
無意識に、カメラの目で見た画像が現実であると
思っていますよね。
実際の自分の目で見ることは構図を考える時でも大切ですね。
そういった、物の見方ができることが
画家の目なのかな?と
思いました。
今回は構図について記事を書いてみましたが、自分でもまとめていて、構図の重要性を改めて認識しました。
漫然と、画面にモチーフをおいて描き始めるのはいけないですね、きちんと構図を考えようと思いました。
この記事が、
絵を描いているひと、興味のある人の参考になってくれると嬉しいです。