板(パネル)に油絵を描くときは地塗りをしましょう。
油絵を描くときはキャンバスの他にも、板(パネルと呼んでいます)に描くことができます。
絵(油彩画)を描いたことのある人なら、油彩画はキャンバスに描くのが普通ですよね。
絵画教室などで油彩画はどのようなものにも描ける、と教えてもらったことがある方もいるかと思います。
だから紙でも、木でも大丈夫です。
しかし、紙や板に直接油絵の具を乗せて描くのはおすすめできません。
理由①時間が経つと、板から「やに」の成分がしみだしてきて、絵の色が変色してしまう可能性があります。
理由②油絵の具は透明色なので、木の色が絵の色に影響してしまいます。
理由③地塗りをすることで、絵を描く時間の節約とマチエール(画面の厚みのこと)を作ることができます。
理由④地塗りをすることで、絵の印象がまとまったものになります。
地塗りの種類
プロの画家は、下地の種類を使い分けて描いています。
油絵具の油分が下地にどれだけ吸収していくかといったことを考えて、画家の好みの画肌に仕上げるために、下の3つの種類を使い分けています。
プロの画家は自分の手で、炭酸カルシウム・チタニウムホワイト・膠・リンシードオイルなどのオイルを混ぜて作ります。
油分をどれだけ吸い込むかによって、非吸収性の下地・半吸収性の下地・吸収性の下地の3つの種類があります。
しかし、
家庭で、専門的な知識がなくても、簡単に手軽に地塗りをする方法があります。
地塗りに最適な地塗り材の種類と特性
おすすめの地塗り材① リキテックスジェッソ
成分がアクリル樹脂と炭酸カルシウム・チタニウムホワイトで作られていて、板(パネル)の上に刷毛で何回か塗るだけで地塗りをすることができます。
細かい絵(細密画)を描くときは、目の細かい紙やすりで研磨してから描くと、刷毛の細かい凹凸がなくなって、描きやすくなります。
おすすめの地塗り材②μグランド
この、地塗り材はプロ志向の方におすすめです。
油絵の具の油分をかなり吸い込みますので、地塗りをした後、インプリマトゥーラ(色をつけた下地の地塗り)をするときに油分が吸い込まないよう、あらかじめ、リンシードオイルを画面に刷り込んで、油分の吸収を抑えるようにしておいたほうがよい地塗り材です。
初心者のかたは、①のジェッソを地塗りとして使用することをおすすめします。
本格的に、油彩画を描いている方には、②のμグランドの地塗り材がおすすめです。
まとめ
①板(パネル)に油絵を描くときに地塗りをする理由として
*板から「やに」の成分がしみだしてくるのを防ぐため
*絵具の発色を良くするため
*作風に応じた凹凸を地塗りの段階でつくることで、効率よく作業することができる。また、逆に目の細かい紙やすりをかけることで、細密画を描くときに描きやすくなる
*画面全体の印象がまとまったものになる
②地塗りの種類
プロの画家は好みの画肌に仕上げるために、油絵の具の吸収を調節できるよう、油分の吸収力の違う地塗りを材料から自分で手作りする。
③おすすめの手軽にできる、市販されている地塗り材
*リキテックス・・・・・初心者におすすめ
*ミューグランド・・・・・ある程度、油彩画に関して知識のある方におすすめ