油彩絵具ダンマルニスを使うことで乾燥時間を短縮することができます
油彩絵具は酸素と結合してゆっくり固まるので、水彩絵の具のようにすぐに絵具が乾きません。
なので
重ねて色を乗せることはことはできず、初心者は画面の上で、いろいろな色を筆で混ぜてしまい、茶色の濁ったような色にしてしまいがちです。
そこで
私がこうするといいですよ。
私はこんな風にして、乾燥を早めたり、乾燥に時間がかかっても、毎日油彩画を描けるように工夫していますよ。
といったことを紹介します。
乾燥時間を短縮させることができる地塗り材とは
こだわりのある方は、キャンバスを手作りしたり、パネル(板)に膠で作った地塗りをして描いていますが、
私は「μグランド」という市販されている地塗り材を使用しています。
アクリルジェッソを地塗りにして描いてみたのですが、油分が下の層にあまり吸収されにくく、すぐ画面がテカテカした感じになってしまい、描きにくく感じるのです。(あくまでも私の感想です、きっと人によって描き方はさまざまなので個人がいろんな画材をためしてみる必要があるのだと思います)
μグランドは、油分を結構吸い込むので、吸い込みが多ければ、ニスや蜜蝋を加えて、油分の吸い込みを調節しながら、描き進められるので私には合っているのです。
油分を吸い込むので、2日後には完全に指で触っても絵具が付いてこない状態(指触乾燥といいます)になるので、計画的に作業を進めることができるのです。
乾燥を早めるための画溶液の種類と使い方
市販されている、ペンティングオイルは、合成樹脂が加えられていて本当にすぐに乾いてしまい、私のように細い線を描くタイプの書き方には不向きなのかな?と思いました。
すぐに、乾燥するので、豚毛で大胆な筆致で描くタイプの人には合うと思います。
私は特殊加工のポピーオイルとダンマル樹脂を合わせたもの(スペシャルルソルバン)を使用しています。

ホルベインさんの商品。画材店で¥500~
600円くらいで購入することができます 。
ポピーオイルの代わりにリンシードオイルでも大丈夫です。その場合、スタンドリンシードオイルのほうが乾燥がより早いです。


画材店での販売価格は¥500~
600円位です。
この、2つをダンマルワニス2対スタンドリンシード1の割合で混ぜたものをテレピンでうすめて使ってもOKです。こちらのほうが経済的ですが私は
手軽な、スペシャルルソルバンを使用しています。
油彩絵具の乾性油(乾くと固まる油)はポピーオイルとリンシード(亜麻仁油)の2種類あり、どちらでも大丈夫なのですが、ポピーオイルのほうが黄変(黄色に変色)しずらいです。リンシードはのちに黄変しやすい。
しかし、そんなに気にしなくても大丈夫だと思いますよ。
高校時代から油彩画を描いていますが、今までに黄色に変色してしまった絵はありません。
画溶液はこの、ポピーオイルとリンシードオイルの2種類があるのですが、両方とも空気中の酸素と結合してゆっくり固まるので、そのままでは2週間から1か月はかかってしまいます。
そこで、
ダンマル樹脂を加えます。
ダンマル樹脂はダンマルガムという樹脂の塊で、テレピンにとけて液体状になります。テレピンは空気中に蒸発してしまうので、画面に絵具と一緒に付くとすぐに個体になります。
なので、すぐに乾かないポピーオイルやリンシードオイルを補う形となって、絵具が固まる補助の役目をするわけなんです。
でも、このダンマル樹脂はテレピンに溶け出す性質があるので、乾燥したと思ってテレピンでおつゆのような状態で上から絵具を重ねると、下の絵具な溶け出してしまいますから、ご注意を!
こんなかんじに、
画溶液も2日あれば指触乾燥(指で触っても絵具が付かない)状態にできます。
絵をローテーションして描く
絵を3枚、同時進行で描くことで毎日、油彩画の制作をすることができます。
1日目はAの絵を描く⇒2日目はBの絵を描く⇒3日目はCの絵を描く⇒2日前の絵は乾いているのでAの2層目を描く
こんな感じです。
乾燥の早い絵具を使う
亜鉛、コバルト、マンガンが入っている絵具は他の色に比べて乾燥が早いのですが、だからと言って何色にこれらのものが入っているか分からないし、調べようがないですよね。
そこで
ホルベインさんが画材店においてある
カタログに乾燥の目安日数が書いてあります。
このカタログです。↓



乾燥所要日数が書かれているので、これを参考にするのがいいと思います。
油彩絵具は初心者にはなかなか乾燥しなくて扱いになれるまで大変かと思います。私が最初に油彩画を描いたのは中学3年生の時でしたが水彩絵の具に慣れていたので、下の層の絵具と混ざってしまい、色が濁ってしまい描きにくい絵具だな~と思っていましたから。
油彩絵具は1層目、2層目・・・と乾燥したら次の層を重ねて塗る。そういう感じをイメージしていただくと描きやすくなります。
百合の花の制作過程・まとめ

パネルにμグランドで地塗りをした後、鉛筆と色鉛筆で下書きをし、うすく油彩の茶色で画面全体におつゆ状に絵具を塗る。

固有色を塗り、アキーラ絵具の白で明るい部分をハッチィング(線で重ねて描く)する。

背景の紫色の画面に奥行きと深みを出すために反対色の黄色を重ねて塗る

紫色単色では暗く、透明なので、不透明感をだすために、パーマネントホワイトを混ぜ、黄色・紫・水色・黄色で描き進めて完成です。
描き方は画家の数だけある、といっても過言ではないのでこのやり方がすべてではありません。私は乾性油と樹脂を理解すること、技法を増やすことで乾燥を早めて描く方法を取っています。
私の描き方がすこしでも、参考になりましたらうれしいです。
よかったら参考にしてください。