油絵を描くときは筆に一番こだわりたい
油絵を描くときに使う筆といえば、「豚毛の筆」というイメージですよね。
油絵具は、水彩絵の具と違って、粘着力のあるもったりとした感じの絵の具なので、豚毛のような腰のある筆を使って絵を描きます。
一言で「豚毛」といってもたくさんのメーカーからいろんな形の「豚毛」の筆が作られているので
どれを選んで買ったらいいのかわからないと思います。
そんな方に
たくさんの筆を試してきた私が、おすすめの筆をご紹介していきます。
こちら↓↓↓↓↓
の記事でも紹介しましたが
独身時代は必要と思えば、躊躇しないで画材を買うことができていたのですが、
主婦ともなると・・・、そうはいきませんよね。
でも、絵は描きたいし・・・。
だから、画材にも余分な出費はできるだけ押さえようと、あれこれ工夫して油絵を描いてきました。
だけど、
これだけは、多少価格が高くても、良いものを購入したほうがいいと思ったのが、
「筆」
なんです。
学生時代も、あまりお金をかけることができないこともあって
値段の安い豚毛を使用していたのですが、
使っているうちに、筆の先が開いてしまって、思ったような筆使いができなくなってしまったり、
筆の毛が描いている途中で抜けてしまって、絵の画面に張り付いてしまうことがありました。
筆を洗っている途中で、柄の部分が取れてしまったこともありましたね。
豚毛は消耗品だから・・・
だから安いもので十分という考え方もあると思うのですが
使い心地が全く違うのです。
なので
他の画材は安価なものや、代用品でも大丈夫だと思いますが
私は、筆だけは良いものを使うことをお勧めします。
油絵で私がおすすめする筆のメーカーと価格
油絵の筆メーカーについて
私がおすすめする、筆のメーカーさんは「名村大成堂」と「株式会社アムス」です。
海外のメーカーの筆も購入して使ってみましたが、やっぱり筆は名村の筆が使いやすくて一番気に入っています。
最近では、キャムロンプロの筆がナイロンの毛でできているのですが、穂先がまとまりやすくて、絵の具の含みもよくて、おすすめです。
キャムロンプロはどこのメーカーから販売されているのかな?
そう思って、調べてみたら「株式会社アムス」というメーカーさんが作っているということがわかりました。
油絵の筆の価格について
油絵をこれから描き始めるかたへのおすすめの筆は、各メーカーさんから、初心者向けセットとして、何本か筆がセットになったものが販売されています。
参考までに
名村大成堂さんの初心者向けセット価格について紹介しておきます。
〔名村太平堂のサイト参照]
学生・初心者向けセット用筆
4本セット ¥1,200-
(丸筆6号、平筆4・8・12号)
6本セット ¥2,000-
(丸筆6号、平筆4・8・10・12・14号)
これくらいの価格で購入することができます。
さらに、描いてきてもう少し良いものを使いたくなったら、
買い替えるとよいと思いますよ。
価格帯は、4号サイズが¥260-から販売されています。
価格が高くなればなるほど、品質も高くなっていきます。
習いたての頃は、そんなに高い品質の筆を使用しなくても問題ないのですが、
いろんな技法を習得して、自分の表現が決まってきた方には品質の良いものや、豚毛以外の毛で作られた筆を購入していくとよいと思います。
油絵筆の原毛の種類について
油絵を描くときの筆といえば豚毛ですが、
そのほかにも、いろんな毛の筆があります。
大まかにざっくりと分類すると
人口的に作られた、ナイロンの筆と動物の天然毛があります。
ナイロン筆
ナイロン筆は、主にアクリル絵の具用として、お店で販売されていますが、油絵の筆として使用しても大丈夫です。
株式会社アムス から販売されている CAMLON PRO ARTETJE(キャムロンプロ)
が油絵を描くときにおすすめです。
ただ、「こし」がないので仕上げにおつゆのように溶いた絵の具で描き足すときに使います。
豚毛
豚毛は最初はごわごわして、描きずらいと感じると思いますが、何回か使用していくうちに毛が柔らかくなって使いやすくなってきますよ。
必ず、使い終わったら、ブラシクリーナーで洗い、そのあとも石鹸でよく洗っておきます。
狸
日本のものと中国のものがあります。
日本のものは良質ですが、少量しか取れず、主に輸入品を使用しています。
水彩と油絵用の筆には、背中の部分の毛を使用しているそうです。
豚の次にこしがある毛になります。
オックス(雄牛の耳の毛)
適度な柔らかさがあり、絵の具の含みが良いです。
セーブル筆に準ずる、優れた毛質です。雄牛の耳の毛を使用して作られた筆です。
馬
馬の毛は、馬の体全体の毛を利用すことができるそうです。
柔らかめで、油絵に使用するときは、おつゆの状態の絵の具を塗るときに使うくらいです。
日本画やデザイン用の筆に使用されているようです。
貂(てん)
尾っぽの毛で作られています。
シベリア・北欧・中国・日本と、国土や気候によって毛の質が変わるようです。
寒いところのものほど良質で、しなやかで弾力のある、シベリア産コリンスキーセーブルが高価で最上級品です。
とても、柔らかい毛なので、油絵で盛り上げたり、キャンバスの上で絵の具をこすりつける描き方には向かない筆になります。
油絵で使うときは、
「古典絵画技法」のように、薄く絵の具をおつゆ状にして塗る場合に使用する筆です。
古典絵画技法については、こちらで紹介しています。↓↓↓↓↓
油絵の下地を塗るときの筆(刷毛)は?
キャンバスの画面に下地として色を塗るときの専用の筆もあるんですよ。
習いたての頃や、10号サイズまでの小さい絵だったら、下地を塗るための筆は用意しなくても大丈夫なのですが、
大きいサイズのキャンバスに下地を塗るためには
専用の刷毛を用意すると楽にきれいに絵の具を塗ることができます。
おすすめの刷毛は
namura(ナムラ)の地塗り用刷毛です。
こちらが私が使用している、ナムラの油絵専用刷毛です。
サイズはS・Ⅿ・Ⅼと3種類の大きさがあります。
写真のサイズはSサイズで、刷毛の幅は大体10センチくらいの大きさになっています。
柄がないのが特徴で、毛の部分の近いところを持つことで、力が入れやすく、ねっとりとした質感の油絵具をキャンバスに伸ばしながら塗りやすく、地塗りをするときは、私はこれを使用しています。
油絵の筆はペインティングオイル(画溶液)によって変えよう
油絵具を使うときにナイロン筆を使っても、天然の筆を使っても大丈夫なのですが
天然の毛でできた筆は
「アクリル絵の具」や
「アキーラ絵具」
を塗るときに使ってはいけないんですね。
・・・使えないことはないのですが、
かなり筆を痛めてしまいます。
筆の劣化が激しく、すぐ使えなくなってしまうんですね。
天然の毛の筆はとても高価なので、大切に使えば使いごごちがとてもよく、繊細な線も描けるので、大切に使いたいですよね。
「アクリル絵の具」や「アキーラ絵具」を使うときはナイロン筆を使いましょう。
高価なセーブルの筆は油絵の具を塗るときだけ使うようにしましょう。
油絵の筆を洗うときには
豚毛を洗う場合の方法
筆を洗うときは
市販されているブラシクリーナーで筆を洗ったあとに、石鹸でよく洗います。
ジーナさんのサイト「はじめてのお絵描き.com」 より油絵の筆の洗い方の動画を紹介させていただきました。
筆の洗い方によって、良い絵が描けるかきまるといっても言い過ぎではないと思っているので、筆のメンテナンスは大切です。
石鹸で洗うときに、石鹸がよく泡立つまで3回くらい洗うのがポイントなのですね。
毎回、丁寧に洗うことを癖付ければ、本当にしなやかで使いやすい豚毛になりますので、皆さんも面倒くさいなぁ、なんて思わないで筆を石鹸で洗ってみてくださいね。
天然のデリケートな筆を洗う場合の方法
セーブルの柔らかい毛の筆は、ブラシクリーナーを使わないで、ぺトロール(揮発性油)で洗うといいのだそうです。
揮発性油も、テレピンとぺトロールの2種類があるのですが
テレピンは松の樹液を蒸留して作ったものなので、完全には揮発しないで少し松脂の成分が残るそうなんですね。
なので
ぺトロール(石油を精製して作ったもの)のほうが、完全に揮発して何も残らないので
デリケートな筆を洗うには、ぺトロールがよいのだそうです。
小皿にぺトロールを適量出して、その中に、絵の具をふき取った筆を浸して、トントンと軽くたたいて、
筆の根本にある、絵の具をたたき出すようなイメージで洗います。
そのあとは、何もしなくても大丈夫らしいのですが、私は、石鹸をつけて洗うようにしています。
絵画教室で先生に聞いた話では、天然の毛は人間の毛と同じように、洗ったら人間が使っているリンスをしてあげるといいのだそうです。
画材店で、筆のリンスというものがが販売されていますので、私はそれを使っています。
クサカベのメーカーから販売されている、ブラシソフターという商品ですね。
油絵の筆はこれだけあれば大丈夫
油絵の筆の形には種類があって、
大きく分けると、
平筆と丸筆がありますが、この2種類さえあれば、大丈夫です。
筆の大きさを表す数字がありますが、描く絵の大きさに合わせた太さの絵筆を使えば大丈夫です。
油絵を始めたばかりの人は6本あれば十分ですし、
絵を描いていくうちに、もう少しこんな筆が欲しいなと思ったら、少しずつ画材店で購入していくといいと思います。
油絵の筆は水彩用に販売されている筆を使っても大丈夫
これは、上級者向けですが
水彩用として販売されている筆でも、油絵の筆として使用することができるんですよ。
特に
0号サイズの小さな絵を描くときや
とても緻密に描きたいときに豚毛の筆ではちょっと無理がありますよね、
なので、水彩用として販売されている筆を私は使って描いています。
水彩用の筆は柄が短いので、小さいサイズの絵を描くときにはちょうど良いのです。
油絵の筆の軸(持つ部分)がなぜ長い
水彩用の筆と比べて、油絵の絵筆の柄はながいですよね。
これは
油絵はイーゼルに立てかけて描くためと、粘着質のねっとりとした質感の絵の具のために、筆をいろんな持ち方で塗るために柄が長くなっています。
筆を寝かせて持って、キャンバスにこすりつけるように描いたり、
柄を長くもって、画面から離れて描いたりすることができるように柄が長いのです。
まとめ
油絵の筆は、実際に使ってみないとわからないですよね。
私の経験が筆選びの参考になればいいなと思い記事にしてみました。
筆は自分の手となって絵を描く道具なので、価格は高くても品質の良いものをそろえたほうがいいです。
それから
手入れをきちんとすると、しなやかで描きやすい筆を長い間使うことができるので、
面倒がらずに必ず筆のお手入れはしてほしいなと思います。
主婦の方で、やっぱり油絵はお金がかかるから、もう描かないかな・・・そうおっしゃていた方もいましたが
金銭的な問題で油絵をあきらめてしまうなんてもったいないですよ。
主婦でも、経済的な制限があっても油絵を楽しめるよう、いろいろと工夫をしているんですよ。
絶対に必要なとことにはお金をかけて、そうでないところは節約して油絵を楽しみましょう。
この記事がお役に立てたらうれしいです。