パウル・クレーという画家を知っていますか?
今回は、20世紀、スイスに生まれ、ドイツで活躍した画家「パウル・クレー」が使っていた技法の
「油彩転写」について、紹介したいと思います。
油絵がマンネリに感じたら、「油彩転写」を試してみませんか
油絵を描いていて、すこし飽きてしまったな・・・。
油絵で描く他の技法は何かないかな?
そう、思ったら「油彩転写」という技法を試してみてはどうでしょう?
この技法は、20世紀のスイス出身の画家
パウル・クレーが使っていた技法なんです。
クレーはじつにさまざまな技法を使って絵を描いていますが、中にはどのような技法を使って描いたのか分からない作品もあるそうですよ。
「油彩転写」の技法は、油絵の具を版画のインクのようにして、紙に転写する技法で、
油絵の具とパレット・ペインティングナイフ・薄手の紙と画用紙、あるいはケント紙でできる簡単なものなので、ぜひ挑戦してみてほしいなと思います。
それから、
学校や絵画教室の先生をやっていらっしゃる方も、授業の内容のひとつに取り入れることも可能だと思いますので、
良かったら取り入れて使ってみてほしいなと思います。
「油彩転写」は線を使って描くので、
モデルを見て、即興的な、自由な線で描いて仕上げてもいいし、
細密に描くこともできます。
また、抽象的な絵を描いても面白いと思います。
それでは、まず最初に、パウル・クレーとはどんな画家なのか、ざっと紹介していきたいと思います。
パウル・クレーはどんな画家なの?
パウル・クレーってどんな画家で、どんな絵を描いたのでしょう?
作品と生涯について調べてみました。
同時代の画家には、ピカソ、ゴッホ、カンディンスキーなどの画家がいますが、
線と色彩が特徴的な、同時代の画家たちとはまた、違った独自の表現方法で絵を描いています。
生まれと青年時代
パウル・クレーは
1879年にスイスで生まれました。
父は音楽教師、母は声楽を学んだ音楽一家の家に生まれたクレーは
小さいころからヴァイオリンを学び、
「ベルン市管弦楽団」の一員となって収入を得るまでになります。
しかし、
絵にも興味があったクレーは、最終的には美術の方向に進みます。
クレーは、ドイツ、ミュンヘンの美術学校で学ぶのですが、クレーには合わなかったようで、途中で退学をしてしまいます。
その後、バイオリン演奏者として収入を得て生活をするのですが、
1906年にピアニストのリリーと結婚してからは、リリーの収入で暮らし、クレーは育児を担当しながら絵を描くようになります。
そして、1910年に初個展を開催。
その後、スイスの3つの都市を旅行し、
1911年にミュンヘンでアルフレッド・クービンと出会い、イラストの仕事を得ることができるようになります。
そして
ミュンヘンの芸術組合のメンバー、続いて「青騎士」のメンバーとなります。
第一次世界大戦に兵役に就きながらも絵を描く
1916年に第一次世界大戦に兵士として徴兵されたクレーですが、
航空学校の書記長になってからは、兵舎外で絵を描くことを許されるようになります。
そして、
戦争中に何度か絵の展示を行い、この頃からクレーは新進気鋭のアーティストとして
認めてもらえるようになります。
バウハウス時代
その後は
バウハウスで教鞭をとったり、
バウハウスは第一次世界大戦が終わった1919年~1933年にドイツのワイマール共和国に設立された、工芸、写真、デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行なった学校です。
Wikipedia フリー百科事典
デュッセルドルフで教授となったり、安定した収入を得ながら絵の制作ができるようになりました。
ピカソなどと並ぶ、20世紀を代表する画家です。
油彩転写のやり方
それでは、
油彩転写のやり方ですが、まずはじめに用意するものは
○油絵の具の黒
○パレット
○ペンティングナイフ
○ペンティングオイル
○クロッキー用紙やコピー用紙のような薄い紙
○画用紙、もしくはケント紙
○水彩絵の具
○水彩筆
になります。
油彩転写の手順
油絵の具の黒をパレットに出します。
画像ではターペンタイン(テレピン)を使って溶きましたが、ペンティングオイルで溶いても問題なく出来ました。
緩く絵の具を溶いたら、クロッキー用紙や、コピー用紙に絵の具をペンティングナイフでうすーく塗ります。
こんな感じに、回り1cmくらい塗り残して、全体に塗ります。
絵の具は紙に吸収されて表面は、マットな感じになっています。
画用紙か、ケント紙の上に、絵の具を塗った方法を下にして重ねます。
画用紙でも転写出来ますが、
ケント紙の方が、よりハッキリと線が転写されるのでケント紙がお勧めです。
あらかじめ、クロッキー用紙などの紙に下絵を描いておいて、転写する事も出来ますが
こんな感じですね。
ボールペンのような先の硬い筆記用具や先が尖って硬いものを使って描いていきます。
下書きなしで、即興的に線を描いていくのも面白いと思います。
転写したら、上の紙を剥がすと
下の画用紙に転写されています。
水彩絵の具で色をつけて完成になります。
上の画像は、画用紙で試してみましたが、下のケント紙の方がより、ハッキリと黒の線が出ました。
まとめ
油絵の具を紙に塗りつけてカーボン用紙みたいにして絵が描けるなんて少し意外でしたが、実際にやってみると綺麗な線が描けて驚きでした。
鉛筆でなぞった部分以外はほとんど油絵の具が画用紙に映りませんでしたが、
実際、パウクレーが制作した作品の中には、クレーが手を押し当てた後が残っている作品もあります。
手のあとが作品に残っても、それが、画家が絵を描いた軌跡として画面に表現されているということで、
失敗ではなく、それが作品のひとつのコンセプトとして表現されているので、それもまた、作品の一部なんだそうです。
私がクレーの作品で一番好きな作品は「さえずり機械」という作品です。
この作品は、油彩転写で描かれていて、シンプルな線だけで描いてあるのだけれど、なんともいえない美しさとせつない感じが私の中では気に入っています。
インターネットでその絵を探したのですが、見つからず、ブログには掲載できなかったのですが、
もし、興味があったら見てくださいね。
この、油彩転写の技法は、絵具を塗る紙を和紙にしてみたり、絵具も黒じゃなくて他の色を使ってみたり、
画用紙もいろいろな種類を試してみると面白そうです。
あなたも、この「油彩転写」ぜひ試して見て下さいね。