「絵画作品」をつくるのだから

「作品」「美術品」を制作している感覚で絵を描いています。

大学時代(30年くらい前の話ですが・・・)50号以上の絵を描くようになるとだんだんと作品・美術品を作っている、そうゆう感覚が私の中でだんだんとなくなってきてしまったんですね。

どうゆうことかというと

いかに、大きな作品を時間内に絵具で塗って画面を埋め尽くすか・・・ということが重要になってしまう、という事。

大学を卒業して仕事をしても制作は続けるぞー!

そう思い、仕事が終わってから寝るまでの間を費やして制作を頑張ってきましたが・・・

やはり、一日の大半を仕事で費やしてしまうので、自宅に帰ってから制作できる時間はせいぜい最大で3時間ほど。

当時は公募団体に入選することが画家への第一歩だと思っていたので、100号を2枚。1年間で描かなくてはなりません。若さもあったんでしょう、徹夜で絵を描いてそのまま出勤するなんてこともできていました。

だけど、そうやってフルタイムの仕事をしながら100号の絵を2枚描くのはその2枚を描くだけで1年間が終わってしまうんですよね。

制作場所にも困りました。通常のワンルームマンションではとてもじゃないけど制作できません。そこで、私は一件の貸家を借りて住んで、そこで100号の油彩画を制作していたんです。

100号の油彩画って、160cm×130cmくらいの大きさです。だいたい畳の大きさを想像してもらえれば分かるでしょうか。

なので・・・細かい、緻密な作品を丁寧に描こうとすると、仕事をしながら制作すると時間が足りなくて、どうしてもおおざっぱな仕事にするとか、抽象画になってしまうのです。

そうして1年かけて100号2枚描いて、東京の公募団体に出品料と運送費の合計金額約7万円くらいのお金をかけても、

落選したらどこにも飾ってもらえず、誰にも見てもらえずに、やがては廃棄処分という運命になってしまいます。

それでも未来を夢見て(というより、高校時代の恩師や他の美術の先生方もそうして発表していたので、それが当たり前のことと感じていたんですね。)東京の公募展に出品していました。

そうして、時間に追われながら100号を描いては保管する場所もなく廃棄処分。

だんだんと私はこんなインスタントな仕事をすることが嫌になってしまいまいた。

どんなに、ていねいに時間をかけて描いても、作品というものにはならず、美術品なんてまったく呼べないものをただ、お金をかけて量産して捨てているだけなんですよ。

描くのが楽しい、自己満足で描いても、展示されず、誰にも見てもらえず、最後は捨ててしまう羽目になるんなら、描きたくなくなりますよね・・・。

そんなことよりも、お金と時間が続かない。そう思いました。

趣味で描くにしても、お金と時間がないとできないんだ・・・。

そんな風にも思っていました。

それに、毎年あんなに大きな絵を描く場所と時間をほかの展覧会に出品している人はどうやって確保しているんだろう、

会員の人って普段どんな仕事をしているんだろうか、やっぱり美術大学や絵画教室の先生ばかりなんだろうか?といろんな疑問が湧いてきて・・・

いつも疑問に感じていたのは皆さん、どうやって生活の収入を得ているのだろう?ということ。

奨学金を返済しながら一人暮らしをしていた私にはとてもじゃないけど、その経費は払えませんでしたよ。

絵を描くことは本当にお金が必要だと実感しました。

たいてい、油彩画を発表しようと思うと、50号以上の大きさじゃないとダメっていう公募展が多いですよね。そして、50号の絵よりも100号の絵のほうが評価されるという・・・

フルタイムの仕事をしていては、制作時間は本当に足りないと思います。

(絵の画風にもよると思いますが)私は、コンセプトを重視した内容の美術ではなくて工芸的な、ずっと作品として残るものが作りたかったのです。

そして、作品には制作時間が凝縮されていて、見た人がそこに制作した時間を感じる取ることができるようなものが作りたかったのです。

塞翁が馬(サイオウガウマ)の格言を思い出します。

人生の吉凶は簡単には定めがたいことを言った格言ですが、もし、病気で仕事をやめなければ、また私の人生も違ったものになっていたんじゃないかな、と思うのです。

退職したことによって、制作時間できて、また油彩画を本格的に制作する気持ちになったわけですが、もし、退職しても、絵画教室に通って油彩画を習おうという考えにならなかったら、今はないんだな・・と。

子供が生まれても、絵を描いてはダメと言われても、いつの日か、いつかと描きたい気持ちを持ち続けたことが今につながったのだと思います。

仕事をしなくなくなったことによって自分の納得できる作品を制作することはできています。

これからもずっと、「作品」・「美術品」を作っているんだ。

そんな気持ちで、こだわりのある作品を描いていこうと思います。

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